見出し画像

がんサバイバーに笑顔を。~『がんサロン すまいる』さんの活動レポート~

隠岐 西ノ島にも、がんと闘い、みんなが笑顔になるための活動を続けている方々がいます。

今回は、『がんサロン すまいる』さんの活動を取材しました。


どんなサロン?

『がんサロン すまいる(以下、すまいる)』は2009年に結成された、がん患者やその家族を支える団体です。
保健所の方も含めて現在は7名ほどで活動しており、メンバーのほとんどは『がんサバイバー』です。

がんサバイバーとは?
がんの告知を受けてこれから治療する人、治療中の患者さん、治療が終了した人、あるいは患者さんの家族や友人など身近な人々のこと。

がん研有明病院 サバイバーシップ支援室
左奥から桶谷さん、松浦さん。
右奥から橋本さん、島津さん、間瀬さん(すまいる代表)

主な活動は、お花見や料理、手芸などメンバーが「やりたい!」と思うことを2~3ヶ月に1回開催し、みんなで楽しむこと。
がんで悲しむ人を少しでも減らしたいという想いから、がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝える啓発活動なども行っています。

啓発活動として、交通センター前に飾ったピンクリボンのイルミネーション

それぞれの向き合い方。

いつも、集まったときのたわいもない話から「次はこれをしよう!」という企画がうまれるそうです。

今回の活動は味噌づくり。

朝10時、メンバーの松浦さんのご自宅に伺うと、愛犬『ぽんず』が元気にお出迎えしてくれました。

バッチリカメラ目線のぽんず

味噌づくりの前に、自己紹介を兼ねて体験談を伺いました。

まずは、すまいる代表の間瀬さんから。

「約20年前にステージ3の乳がんになって、先生から『もしかしたら5年以上生きられないかもしれないよ』と言われました。でも、みんなが羨むくらいいい先生でね。大好きな先生だったから頑張ろうと思いました」

最初は本土のがんサロンに通っていたけど、交通費もかかるし、思うように活動できない。
ならば西ノ島で立ち上げようと、島津さんと2人で保健所にかけあって、『がんサロン すまいる』を立ち上げた。

「間瀬さんたちの想いがあったからこそ、今こうして活動できているので、すごくありがたいです」

そう話すのは、約10年前に乳がんが見つかった橋本さん。

「ちょうど北斗晶さんや小林真央さんが乳がんになって世間が注目していた頃、触診で見つかりました。ステージ1だったけど、進行の早いがんだからと、早めに手術を受けました」

「闘病をして、自分が周りにどれだけ支えられているのかを実感しました。がんサロンでみんなと会ったら元気になるし、パワーをもらうね。自分ひとりではできないけど、みんなとやるからできることがあるし、テンションがあがる(笑)」

町内イベントにて、みんなで販売した”にこにこ蒸しパン”。

「私も周りにたくさん支えられた」と話すのは桶谷さん。

「耳のがんだったんだけど、100万人に1人のがんって言われた。それなら宝くじに当たりたかったって何度も家族に愚痴ったりして」

「最初にがんが見つかったのは7年前。末っ子の娘が就職して、これから自分の時間を楽しむぞって思っていたときに見つかった」

「今からってときになんで?って思ったけど、姉の言葉にすごく励まされてね。『がんは2人に1人はかかるって言われてるけど、今の医療は進んでるし大丈夫だから。私も頑張ってやるから、一緒に頑張ろ』って」

すまいるにはがんを経験した人だけでなく、色んな人が関われる。
現在、病院とすまいるを繋げる役割を果たしているのが元看護師の松浦さん。

「病院にいる患者さんは今まさにがんと闘っている方たちなので、すまいるについて声をかけるタイミングはすごく難しい。さりげなくチラシを置いてあげたり、壁に貼ってみたりしていました」

啓発活動のチラシ等々。

みんなとやるから出来ること。

皆さんのことを少し知れたところで、味噌づくりがスタート。

今回は、簡単に作れるキットを使って約2キロの味噌づくりに挑戦しました。
キットは麹、すりつぶした大豆と塩を混ぜたもの、ジップロックのような袋の3つで1セット。

まずは麹選び。
麦、玄米、お米の3種類から選びました。

選んだ麹を大きい桶にいれ、パラパラになるように手で崩します。

手には常在菌という発酵に必要な菌がいるので、みんな素手で作業しました。(※手に傷がある人は手袋をしてください)
それぞれ持っている菌は違うので、同じ材料を使っていても、人それぞれ味が変わってくるそうです。

混ぜていた手は麹の力でスベスベに!
「顔にもつけたいくらいね」という冗談も(笑)

かたまりがなくなったら、すりつぶした大豆と塩を混ぜてあるものを入れてこねていきます。

「大豆のいい香り~!」

混ぜやすいように湯冷ましをいれながら、紙粘土くらいの柔らかさになるまで混ぜていきます。

「おいしくな~れ、おいしくな~れ」

均等に混ざったら、お団子を作っていきます。
お団子を作ってから袋に詰めていくことで、空気が入りにくいんだそう。

「なんかハンバーグみたい、、、(笑)」

全てお団子にしたら、いよいよ袋詰めです。
丸めたお団子をひとつずつ入れて、ぎゅぎゅっと押していきます。
このとき、なるべく空気の隙間ができないように詰めていくのがポイント。

「こんなに簡単に出来ちゃうの~?!」とみんなびっくり。

愛情を込めて押し込んで、空気を抜くように袋をとじたら完成です。

30分ほどで、あっという間に出来ました!

作ったものは風通しの良い場所に3ヶ月から6か月置いて、自分の好きなタイミングで冷凍しておくと良いそう。
愛情を込めて作ったお味噌なので、食べるのが楽しみです。


素敵なランチ「いただきます!」。

作り終わったら、ちょうどお昼の時間。
桶谷さんが用意してくださった手作り料理をみんなでいただきました。

「病気になってから、より健康にいい食事を意識するようになった」と桶谷さん。
1食で1日分の野菜をとれたんじゃないかなと思うくらい、野菜たっぷりのメニュー。
最近ハマっているという塩麴をつかった料理がたくさんありました。

以前同じキットを使って作ったというお味噌は、焼きおにぎりの上にのせて食べさせてもらいました。
どれも絶品、、、!

ご飯を食べながら、これまでどんな活動をしてきたのか伺いました。

「1番印象に残ってるのは、やっぱり10周年イベントかな」と間瀬さん。

じょんじょん太鼓さんのオープニングから始まり、講演や報告会など色んな方に関わってもらって大きなイベントになったそう。

他にも、サンマを七輪で焼いて食べる会やかごを作る会など、とにかく楽しそうな思い出がたくさん。

話しているうちに間瀬さんの出身地、対馬の芋もちを作る会もまたしたいねという流れに。
なんだか次回の企画がうまれた予感、、、!

次回の集まる目的もなんとなく決まったところで、今日の活動は終わり。

「みんなと集まって話をすれば笑顔になる」とお話されていたみなさん。
私も明るくて笑顔あふれるみなさんからたくさんのパワーをもらって、すごく温かい気持ちになりました。

がんサロン すまいる
活動にご興味のある方はどなたでもご参加いただけます。
お気軽にお問い合わせください。

【お問い合わせ先】
隠岐保健所 島前保健環境課 ☎ 08514‐7‐8121

すまいるは「赤い羽根共同募金」の配分金で活動しています