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お店を創りあげる楽しさ-島の魅力が詰まったお土産屋さん-

「Humans of Nishinoshima」
島で暮らすってどういうこと?島にはどんな仕事があるの?
このマガジンでは西ノ島で暮らす人にインタビューし、
イメージしづらい離島での暮らしについてお届けしています。

聞き手・文 吉谷優花

112年の歴史がある酒屋さん

別府港から歩いて3分のところに、白壁に瓦屋根の一際目立つ建物、安藤本店さんがあります。中に入ると、木が剥き出しの高い天井。開放感と温もりを感じます。

店内に入ると、ずらーっと並べられたたくさんのお土産ものや地酒

もともと、こちらのお店は明治43年(1910)より、清酒・醤油の醸造元として始まりました。現在は、隠岐酒造さんのお酒を中心に取り扱っているお土産屋さん。店長の礼子さんは、隠岐ならではの地酒だけでなく、地元で作られたお菓子や加工品、雑貨も積極的に置くようにしているんだとか。

今回は、そんな礼子さんにお話しをお伺いしました。

お話しした方:安藤礼子(あんどうれいこ)さん 西ノ島町出身
趣味:韓国の時代ものドラマをみること
好きな食べ物:みかん・カレースープ 
座右の銘:「まっいいか」
ネガティブになる時も多々あるがそんなときはこう言っちゃう。

メイドイン隠岐のお土産たち


「うちで採れた梅で作ったジュースです。飲んでみてね。」

ついて早々、お店の中を見ていると
氷で冷えた梅ジュースを出して下さいました。

梅の酸っぱさが身体に染み渡ります。

ーーこちらの梅ジュースは西ノ島産とかいてありますね。

そうなんです。
毎年梅ジュースを作っていて、みやげ物として商品化もできました。15年前から梅ジュースプロジェクトを始めていて、毎年、小学校6年生に庭で採れた梅と氷砂糖をセットにして、シロップを自分たちで作ってね、とお渡ししています。ごめんなさい、インタビューの前に勝手に好きな話をしてしまいましたね(笑)。

お店で売られている梅ジュース

ーーいえいえ、大歓迎です。お店には島でできたものが沢山置いてありますね。

はい、西ノ島に限らず隠岐でできたものを積極的に置くようにしています。
以前は本土から来た、山陰地方のお土産が並んでいたのだけど、それを観光客の方がまた本土に持って帰るという・・・。
島にせっかく観光にきたのに、地元のお土産が少ないのも寂しく、勿体ないし、島でできたものを喜んでもらいたいと思って。

なので、地元の方が「こんなの作ってみたよ!」と持って来られた時は、「じゃあ置いてみましょうか!」と答えるようにしています。

最近だと、こちらは、「ございな」さんが作成している巾着です。小さいヒオウギ貝が可愛らしくて、観光客の方に人気なんですよ。

ございなは前回の記事、大野さんが働かれている施設です。

こちらは、TAKUHI.カフェの小松さんが中身からパッケージまでデザインされている、ジャムです。

小松さんについて気になった方はこちらから。


こちらは、酒粕を有効活用できないかアイディアを出してブーランジュリー118さんに製造して頂いているクラッカーです。チーズは入っていないのに、発酵食品なので酒粕がチーズの風味に変身しています。藻塩の素朴な味わいがしてとっても美味しいですよ。

私も頂きましたが、日本酒やワインにぴったりです。

お店を作り上げる楽しさ

ーー礼子さん、本当色々されているんですね〜。礼子さんにとって働く楽しさってなんですか。

人との出会いが沢山あるところですね。
地元の方や観光のお客様とあいさつをしたり世間話をしたりね。

また、思いついたことをすぐに試せることも楽しいですね。
お店に新しいものを置いてみたり。お野菜や果物、おにぎりとかね。
最近だと、この富山ジャンボという大きなスイカを知り合いから頂いて。
あまりにも大きくて珍しいので、お店に飾らせて頂きました。
来週解体ショーをしますよ!食べに来て下さいね。

常連のお客様とパートの前田さんと

お店の中だけでなく、駐車場のスペースも開放して、定期的に隣の島からキッチンカーも来てくれています。インドカレー屋さんが来たり、ピザ屋さんが来たり、からあげ屋さんが来たり。「キッチンカーが来てるよ!」お客様同士の会話にもつながり、地域に活気がでるように思います。

ーー確かに、キッチンカーが来ているときはすぐに情報が入ってきます。行った時には売り切れなんてこともありますよね(笑)。

最近はお店をより良くする為にセミナーにも通っているんですよね。

はい、苦手な分野にも挑戦しています(笑)。
ブランディングのサポートをしてもらえるということで、先週もお話しを聞いてきました。3対1(自分)で緊張しましたけど(笑)。
やっぱり今の時代はSNSでしょうか・・SNSを頑張ってやろうとしているんだけど難しくって。インスタグラムにどうやって写真を載せたらいいんだろう。(このあとInstagramの写真やレイアウトを二人で考えました笑。)

ゆったりと隠岐で構える

ーーお休みは何をして過ごしていますか。

1月〜3月のシーズンオフの日曜日はお休みですが、
4月〜年末までお店は休まず営業しています。
なので基本的にお休みはないんですよ(笑)。
お仕事の合間をぬって島のイベントに参加したり、隠岐民謡を習ったりして楽しんでいます。

お隣の島(海士)のヨガイベントに参加したり
いかあ屋(図書館)のイベントに参加したり

ーー礼子さんが感じる島で暮らす良さってなんですか。

うーん、たくさんあるんだけれども・・・。
ここ隠岐で大切な人の居場所を作り続けられるところかな。
仲の良い友達とか家族とか島外にいる人も多いけれど。そんな人たちがいつ隠岐に帰っても「隠岐ってやっぱりいいな」と思えるように、こちらで根を張って構えていられるというか、いつでもゆったりと待ち続けられるというか、その感覚は好きですね。

もう一つは、正反対になりますが、大切な人がみんな近所にいるところです。家族や親戚だけではなく、ご近所さんとか、お店で知り合った方とか、昔からの知り合いとか。立ち話をしたり、そのままお家でお茶をしたり、お裾分けをしたりされたり。島生活って豊かなんですよね。

取材の帰り、私もモロヘイヤのお裾分けを頂きました

ーー島のこれからに期待することはありますか。

今年のように、大人の島留学生を始め、若い人、Iターンの人が島に沢山来てくれると嬉しいですね。みなさんも気づいているかもしれませんが、島に活気が出たように思います。来てくれた方が移住してくれるともちろん嬉しいのですが。仮に島を出ても、ずっと隠岐を好きでいてくれて、関係人口が増えると嬉しいですよね。きっとその方たちが隠岐の良さを次の土地でも伝えてくれると思うし、そうやって島の良さが広がっていくと思いますので。

田舎は子どもさんやお年寄りにとっても自然の中でゆったりと心と身体が安まり成長できる良い環境があると思います。
西ノ島でも素晴らしい取り組みをされているI・Uターンの方々をはじめとし、地元の方や各職場の方々、官公庁の方も多く、これからも隠岐に期待していきたいと思っています。

筆者のひとこと

柔らかく優しい口調でお話ししてくださり、”穏やか”いう表現がぴったりの礼子さん。お休みはほぼなく、動き回っている様子ですが、大変そうに見えないのは、礼子さん自身がお仕事や島暮らしを楽しんでいるからなんでしょうね。



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