【令和5年島体験】休学して北海道から島根の離島へ。変化した島へのまなざしとは?
今回のインタビューは鈴木さん。
R5年4月期の島体験生として来島し、
滞在を延長して半年間を西ノ島で過ごしました。
別の地域でインターン後、再び西ノ島に3週間ほど滞在していたその期間にお話を伺いました。
来島のきっかけ
ー自己紹介をお願いします!
鈴木花です。
出身は北海道の函館で、今は大学4年を休学しています。
島が楽しくて島体験を延長しました。
島体験期間は役場の産業振興課に所属して、主に(株)日本海隠岐活魚倶楽部(以下、活魚)さんで働いていました。
島体験に参加した理由としては、とにかく地方に行ってみたくて。
まちづくりを学べる所に行きたくて探していて、
元から島への憧れもあったし、条件や待遇面も良かったので島体験を選びました。
ー島への憧れっていうのは?
「どうぶつの森」が好きで。
オンライン説明会に参加して話を聞いた時に「どうぶつの森みたいな生活だ!」って思ったんだよね。
スローライフを送れるような気がして、いいかも!と感じました。
ー事業所を選んだ理由は何ですか?
実は自分で決めたのは「島体験に参加する」ってことくらいで、
あとは流れに身を任せたというか(笑)
正直、HP上の島体験にまつわる情報は海士町のもののほうが多くて、
なんとなく海士町かな~くらいに思っていて。
でも来島前の面談で、「まちづくりに興味があって、実践的に学んでみたい。地域の人とも関わって話をしたい」っていうのを伝えたら「じゃあ西ノ島がいいんじゃないか」って運営の方に勧めてもらって。
「水産もまちづくりの重要な基盤のひとつだし、函館も水産が有名だから何か結びつくものがあるかもね」と言われて「じゃあそれで!」って。
だから最初から自分で水産系に行きたいと思ったわけではなく、流れ着いたのが活魚だったという感じです。
島での仕事と暮らし
ー実際に働いてみてどうでしたか?
これまでは自分の「やりたいこと」や「好きなこと」を探していたけど、
水産っていう元の興味とは違う分野で働いてみて、
自分にとって大事なのは「好きなことをする」とかよりも「誰と働くか」なんだなって思った!
結局心地が良くて島にいる期間を延長したんだけど
何で自分がそうしたのかを考えた時に、ポイントが「人」なのかなって。
「自分にとっては一緒に働く人が尊敬できることが重要なのかな」って考えるようになりました。
あとは仕事のイメージが湧いたかな。
今まで自分は「何のために働くのか」とかの軸がなくて、
だからこそ「好きなことをして豊かに暮らしたいな」くらいにしか考えていなかった。
でも島に来て、尊敬できる人、例えば「若い人が"挑戦したい"と言ったらそれを面白がれるような人」になりたいなって考えるようになったんだよね。
だから最初は小さい会社とかよりは、きちんとスキルを身に着けられるようなある程度大手の会社で働いた方がいいのかなって思うようになりました。
魚をたくさん頂けたのもありがたかったです。
岩ガキも初めて食べました!
ー仕事以外で楽しかったことは何ですか?
日常が濃かったからなあ。
「今日なに食べる?」って会話したり、自転車で帰ったり
働いてはいるけど、高校生の青春みたいな感覚だった。
不便さの中の自由さ、みたいなのもあったし。
ファストフードないから自分たちでハンバーガー作ろう、とか。
自然の中に探検に行ったりとか。
「これ!」っていうのは選べないかも。
島を離れてみえたもの
ー9月に山村でのインターンのために島を離れて、再度来島して改めて島に対して感じたことはありますか?
離島する時点では自分にとって西ノ島は、そこにいる「人」に愛着がある島だと思っていたんです。
自分の中では同期の島留学生や島体験生の存在が大きくて、
ただの移住者としてポッと来たらここまで楽しめなかったかもしれないなっていう風に感じていて。
でも山村の方に2か月いて、海の存在って大きいんだなって改めて感じて。
自分が海のある街で育ったっていうのもあるけど
例えば夜の散歩も、海があれば月の光が水面に反射して綺麗なのを楽しめるけど、山の中はただ暗くて。
自分が楽しみ方を見つけられなかっただけかもしれないけど、そういう面はあまり楽しめなくて。
山村にいた頃から島は結構恋しくて。
戻ってきて、島はコンパクトでいいなと思うし、半年しかいなかったのに「おかえり」「帰ってきたんだね」って声をかけてもらって。
島体験の時は、「島体験生だから」良くしてもらえていたけど
島を出てからでもこんな優しくしてもらえるんだなって嬉しかった。
島体験生という枠組みから外れたことで気軽になったというか、
山村にひとりのインターン生として行ったことで、もし単なる移住者として住んでも、周りとの心地良い距離を自分できちんと選べるんだなって学べて。
自分の中で島のネックな部分がアクセスがあまり良くないことだけになったかもしれない。
西ノ島が「人に愛着がある町」から「人にも町にも愛着のある町」になったと思う。
ー島で印象に残った人はいますか?
活魚の社長。自分に対しても良くしてくれるし、社長のことを悪く言う人がいなくて。
年上の方からも愛されていて、年下の方からは尊敬されていて。
分け隔てなく優しい方だから、本当にすごいなって。
だから私も、社長をはじめ良くしてもらっている人達に、感謝の気持ちを忘れないよう心がけています。
ー島に来て変わったことはありますか?
友達との付き合い方かな。
今まで浅く広くというか、リスク分散した関わり方しか出来なかったんだけど、久しぶりにゆか(シェアメイト)っていう人にガッとエネルギーを使ったかな。
変わってないと思うけど、、、変わらさった!笑(北海道の方言で"自分の意志でなく変わった"の意)
久しぶりに友達としての距離が近くなったけど、自分自身が変わったとは思わないかな。
でも自分のことを考えたりとかは…できた…ようなできてないような。
変わらない自分の視点や価値観とかで、色々な人とかものを見れたのは楽しかった。
ーこれからの予定は?
北海道に帰って就活をします。
業界はまだ定まってないけど、地方創生には興味があって。
ゲストハウスとか分かりやすい外向けのものではなくて
住んでいる人向けたようなまちづくりをしたいかな。
そういうのに携われたらなと考えています。
落ち着いたらまた興味のある場所を何ヵ所か回ってみたいな。
ー島体験、そして西ノ島に興味のある方へメッセージをお願いします。
島体験は、最初にチャレンジする場としてぴったりだと思います。
山村に単なるインターン生として行ったからこそ、「島体験生・島留学生」というくくりであることのありがたさを感じて。
島の方も「島体験生・島留学生」という存在に慣れているから、
受け入れてもらえやすいし、そのおかげで体験できることもたくさんあるし。
待遇面も良くて、住環境も整っていて、ここまでの制度ってなかなかないんじゃないかなと思います。
山村のインターンでは、自己紹介しなくちゃいけないことが多くて大変だったので…。
西ノ島の皆さんは温かくて優しい方がたくさんいて、
そういう人たちのおかげで体験できることがたくさんあります。
町としても、自然も豊かで、観光客だけ向けではなく、地元の人も行ける観光地があるのも大きいと感じています。
夕日が見たくなったらふらっと国賀海岸に行ったりできるようなね。
あとがき
筆者は鈴木さんと半年ほど一緒に住んでいました。
大学生と思えないほどしっかりしている一方で
愛嬌があり地域の方にも愛されていたように思います。
島体験を経て、西ノ島への見方が変わったとのことでしたが
これからも愛着が生まれた西ノ島という町と関わり続けてほしいです。