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島に恩返しを-Uターンした離島で美容院を開業-

「Humans of Nishinoshima」
島で暮らすってどういうこと?島にはどんな仕事があるの?
このマガジンでは西ノ島で暮らす人にインタビューし、
イメージしづらい離島での暮らしについてお届けしています。

インタビュー・文 吉谷優花

西ノ島の浦郷(うらごう)地区に
モダンな外観のお洒落な美容院、Bonheur(ボナー)があります。

Bonheurとは、フランス語で幸運・幸せを意味するそう。
なぜこの名前になったのか気になるところですが・・・
まずは江馬さんのご紹介を!

お店のオーナー、江馬さんは西ノ島出身。
中学校まで西ノ島で過ごし、高校はお隣の島、島後地区にある隠岐高校に進学。学生時代は、野球漬けの日々を過ごしたそう。

高校卒業後、大阪の専門学校へ進学。
大阪、松江で15年ほど経験を積み、ここ西ノ島へUターンしました。

ーー江馬さんは本土で働かれていたということですが、なぜ西ノ島へUターンしたのですか?

もともと、本土で働いていた時から、一人っ子ということもあり、いつかは島に帰ると決めていました。本土で経験も積んで、そろそろ帰ってもいいかなというタイミングでUターンしました。

ーー浦郷地区を選んだ理由はありますか?

お店を開くとしたら、生まれ育った浦郷地区と決めていて、
実はここ(お店)の土地も実家の敷地です。

自分が生まれ育ったところだし、昔からお世話になってる人もたくさん住んでいるし。浦郷地区は高齢化が進んでいて、美容院の数も年々少なくなっています。島の人口自体も減っているからね・・・お店を通して町を盛り上げられたらなと思って、ここを選びました。

浦郷地区、商店街の街並み

ーー恩返しの意味も込められているんですね!お店の名前「Bonheur(ボナー)」の由来を教えてください。

フランス語で「Bonheur」幸運とか、幸せな時間、いい時間という意味があります。幸せっていうのは、美容師を始めた時からずっと大事にしていて、お店に来てくれる方に幸せな時間・いい時間を過ごしてほしいと思ってつけました。

ーー島で美容師をする、都会とは違う楽しさはどんな時に感じますか?

始めた当初から知り合いがたくさん来てくれたのはやっぱり嬉しかったかな〜。友達も「オープンしたら行くわ!」と言ってくれていたけど、来てくれるとは思っていても、正直オープンするまでは確信はないし。
でも実際にきてくれたり、帰り際に「次、この日はいける?」って、次の予約をとってくれたりしたときは、やっぱり嬉しいよね。

自分が小さい頃からお世話になった方とか、その方のお子さんとか、島ならではの繋がりでお客さんが増えていって、当時はやっているうちにだんだん楽しくなっていってたのを覚えてます。

今もその思いは変わらず。
距離が近いからこそ世間話ができるのも楽しいね。

ーー島で暮らす上での”モットー”があれば教えてください。

うーん、モットー難しいなぁ・・・。
モットーというか、大切にしていることは、「人」

ーー人っていうと・・人に優しくするとか、そういうことですか?

うーん、そんな感じ。人に優しくするってことかな。
去年の6月に子どもが産まれて、まだ1歳と4ヶ月なんだけど。
なんだろう、子どもを見た瞬間、
「人に優しくなろう」「人に優しく生きないとな」と改めて思いました。

ーー1歳4ヶ月・・!やっぱり可愛いですか?

可愛いよ〜(笑)

でも出会いだけじゃなくて、土地柄、高齢の方も多いから、自分がお店を始めてから、担当したお客さんが20人近くも亡くなっていて。

実際に、2、3日前に髪を切った方が亡くなったっていう連絡を受けたこともあるし、逆に、ご家族の方から「そろそろだと思うから、髪を綺麗にしてあげてほしい」と頼まれたりすることもあるし。

どこの土地でも起こることだとは思うけど、島でお店を始めて、そういった経験が増えたかなぁ。人との出会いや別れをより身近に感じるようになって、「人」を大切にしないとな、と強く思うようになったね。

ーー江馬さんにとっての「人」にはたくさんの思いが込められているんですね。お店でこだわっていることはありますか?

完全予約制にしていること。

せっかくいい時間を過ごしてもらいたいと思っているのに、次のお客さんが待っているのもお互い気を使うし、落ち着かないと思うし。特に島は狭いから、知り合い同士ってこともよくあるし。

本土で働いている時は、スタッフが10人以上いる大きなお店だったから、自分を指名してくれたお客さんを最初から最後まで対応できないこともあって。自分でやる時は予約制にするって決めてました。

店内には観葉植物がたくさんあり、落ち着く空間

ーーこれから島でやっていきたいことはありますか?

出張サロンを増やしたり、福祉関係と連携することかな。今も週一回、施設に髪を切りに行ったり、頼まれたら家まで出張したりしています。高齢者が多い島なので、どうしてもお店まで足を運ぶのが難しい方もおられるのでね。

これからは、そんな働き方も視野に入れています。

ーー最後に、お仕事だけでなく、プライベートの過ごし方を教えてください。島育ちということで、やっぱり釣りとかするんですか?

釣りは全くしないね〜(笑)
あんまり興味ないかな、パチンコが好きでね(笑)。
パチンコとか書かない方がいいかなって思って話さなかったけど、
実は行きます(笑)。

ーー最後に江馬さんのびっくりワードが聞けてよかったです(笑)。

筆者のひとこと

島に恩返しを、という思いでUターンした江馬さん。
出張サロンをしたり、施設に行ったりと、離島ならではの
美容院の形を知ることができました。「幸せ」や「いい時間」を提供するBonheur、皆さんも是非行ってみてくださいね。


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