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私、島デビューしました-丹波篠山から離島へ-

「Humans of Nishinoshima」
島に住んでいる人って何してるの?島にはどんな仕事があるの?
このマガジンでは西ノ島で暮らす人にインタビューし、
イメージしづらい離島での暮らしについてお届けしています。

聞き手・文 吉谷優花
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お話しした方:小谷麻衣(こたにまい)さん 兵庫県丹波篠山出身
大人の島留学に参加中/前職はカフェ/料理が得意

「鯛を被ると少し、社交的になれるんです(笑)。」


ーーいきなりですが、まずは単刀直入に、なぜ鯛を被っているか教えて下さい。皆さんが一番気になっていると思うので(笑)。

いきなりやなー(笑)。簡単に言うと、丹波篠山に住んでいた時に、カフェでシフォンケーキを作る仕事をしていました。その時に大阪で行われた「まっかっかホリデー」というマルシェイベントに、自分で作ったシフォンケーキを出店しました。「まっかっかホリデー」というくらいなので、イベントのコンセプトが、赤くてめでたいもの。めでたいもの=赤い鯛!という、シンプルな理由で被りましたが、意外と好評で。鯛を被るとみんなが話しかけてくれるんです。人見知りの私でも、スムーズに人と話す事ができて、”鯛が私を変えてくれた”といっても過言ではありません(笑)。

ーー最近鯛が海に還ったと聞きましたが。

はい、その話も、島の色々な方から聞かれます(笑)西ノ島から海士へいく内航船いそかぜに乗っている時に、気づいたら海へ還っていました。。その日はお天気も良く風も強く、私は外のデッキに座っていたので。すぐに新しい鯛をお迎えしましたがせっかくなので、西ノ島らしく、イカも仲間入りしました。これからは鯛とイカの二刀流です(笑)。

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イカに由来のある由良比女神社にて。

山の町、丹波篠山から、海のある西ノ島へ


ーー話は戻りますが、地元、丹波篠山でのお仕事について教えて下さい。

母の紹介で、丹波篠山にある「里山工房くもべ」という旧小学校をリノベーションしたカフェで6年間働いていました。そこのメニューにシフォンケーキがあるのですが、季節の素材を使ってシフォンケーキを焼くのが楽しかったです。特に人気だったのは、黒豆きなこ味、私のおすすめは梅酒味です。先日、西ノ島のコミュニティ図書館「いかあ屋」でも初めてシフォンケーキを焼いて、お世話になった地域の方に配りました。匂いにつられて部屋に遊びにこられる方もいたり、「お金払うからもう一個頂戴!」とか、「朝市で売ったらいいのに!」などの嬉しいお言葉まで頂いてしまいました。

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「いかあ屋」にて。この日は黒豆味を作りました。

ーー住み慣れた丹波篠山を離れて、どうして西ノ島に来ようと思ったのですか。

正直、隠岐についてはあまり知りませんでしたが、そろそろ丹波篠山以外の、新しい土地での生活にも挑戦してみたいと思っていました。シフォンケーキを出店するイベントで大阪、奈良、京都など、関西地区をメインに色々な土地に行ったのがきっかけです。イベントに行く度に、新しい友達ができたり、その方たちと一緒にご飯を食べたり、地元の食材を学べたり。新しい土地に行けば行く程、自分のフットワークがどんどん軽くなるのを実感して。そんな生活を繰り返している内に、どんな土地でも過ごせる自信がついて、勢いのまま隠岐に行く事を決めちゃったという感じです。行くと自分の中で決めた日には、島留学の締め切りが迫っていたので、とりあえず申し込んで、次の日家族には事後報告です(笑)。私、直感型なんです。

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カフェで焼いていたふわふわのシフォンケーキ

何気ない日常が幸せ

ーー事後報告!家族もびっくりされていたでしょうね。飛び込んでみた島生活の中で、幸せを感じる時間を教えて下さい。

一つ目は、何気ない日常がとにかく幸せです。最近では、仕事終わりの夕方の時間にその幸せを味わっています。シェアハウスの近くに仲良くして頂いているご家族のお家があるのですが、その方のお家に何も用事がなくてもふらっと夕方遊びに行きます(笑)。台所から夕飯のいい匂いがするので、その匂いに吸い込まれるように歩いて行ってしまいます。レシピを聞いたり、世間話をしたり、お裾分けを頂いちゃったりして。西ノ島にきてから、時間を気にせずに過ごせる楽しさも知りました。

ーー仕事終わりの、のんびりした時間、最高ですよね。もう一つの、楽しい時間、教えてください。

二つ目は、学生生活を味わっているような時間が幸せです。シェアハウスのみんなでアイスを食べたり、たこ焼きパーティーをしたり。実は私、大人数が苦手で、小学校・中学校はあまり学校に行かなかったんです。高校は通信制に3年間通えたので克服したと思ったのですが、結局大学も2ヶ月で辞めてしまって。あの教室の独特の雰囲気とか、仲良しグループで固まるとかがどうしても苦手で。なのでシェアハウスも不安があったのですが、なぜかめちゃくちゃ楽しい!学生生活で味わえなかった、友達と騒ぐ事とか、みんなで一緒にご飯を食べるとか、その後夕日を見に行くとか。「あー、私青春してるなぁ。」と思います。まさに大学デビューならぬ、島デビューです。

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お揃いのカーキのズボンで記念に。

ーー「島デビュー」小谷さんにぴったりの言葉ですね。最後に島で過ごす上で大切にしている”モットー”を教えて下さい。

私の好きな樹木希林さんの言葉に「おごらず 比べず 面白がって 平気で生きればいい」という言葉があります。島では、肩の力を抜いて、人と比べず、面白そうな事には飛び込んで、自分の機嫌は自分でよくさせる、そんな生活をしたいと思います。

筆者のひとこと

自然体で柔らかい雰囲気の小谷さん。落ち着きの中にも芯があり、好きな事、興味があることにはすぐ飛びついて行動に移す姿が素敵です。島で過ごす青春時間、思う存分楽しんでくださいね。

(インタビュー・文 吉谷優花)