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Iターンでお寺の後継者に。「他者のために時間を使える」離島での暮らしとは

「Humans of Nishinoshima」
島に住んでいる人って何してるの?島にはどんな仕事があるの?
このマガジンでは西ノ島で暮らす人にインタビューし、
イメージしづらい離島での暮らしについてお届けしています。

今回インタビューしたのは、「常福寺」の住職である柴田照輝(しょうき)さんです!
穏やかでいつも笑顔な柴田さんにたっぷりとお話をお伺いしてきました!


プロフィール

• 東京出身、36歳、西ノ島移住5年目。
• 現職:住職、町議会議員、なんでも屋、養蜂家
• 経歴:大工、営業職、ウェイター、宿坊、ディズニーシー勤務を経て、仏教への興味から僧侶の道へ。四国巡礼の経験を経て、高野山で僧侶の修行。

ーー今日はよろしくお願いします!
ユニークなご経歴だと思うのですが、詳しくお聞きしてもよろしいでしょうか?
・大工から営業職・接客業(ウェイター)へ

当時は「将来工務店を開きたい」と思っていました。
技術だけではなく営業力を学ぶため完全歩合制の営業職に転職し、
同時に接客業(ウェイター)をしていました。

・営業職、ウェイターから宿坊へ
接客の楽しさから、接客業(ウェイター)がメインとなりました。
接客の勉強にと高野山の宿坊に勤めることにしました。

・宿坊からディズニーシーへ
真言宗の教えに「生きているうちに仏に成る」ということがあります。
これは仏教の他宗とは異なる真言宗独自の教えなのですが、これを住職さんから教えていただいた時に衝撃を受けたんです。
それまでは、仏には死んでからではないとなれないと思っていましたので。
そして、 接客をもっと勉強したいと思い、ディズニーシーに勤めるようになりました。

・ディズニーシーから四国お遍路へ
ディズニーシーで働いている時に「ここでお客さんを喜ばせるのは僕以外でもできる。自分が『生きているうちに仏に成り』その幸せを伝えられるのは自分しかいない!」と思い込み、僧侶を目指しました。
自分の気持ちを確かめるために四国お遍路をすることにしました。

・四国お遍路から修行の道へ
お遍路中に親切にしてくれた恩を返すために、これから出会う人たちに親切にしようと価値観が変わりました。
弟子入りのために10数ケ寺の門を叩き、1年後専修学院に入学しました。
卒業後に金剛峯寺に就職しました。

・常福寺との出会い
専修学院の同期に「西ノ島のお寺を継がないか。」との話が来たそうなのですが田舎すぎると断ったとのことです。その次に僕のもとへ話が来ました。

・ お寺を守る決意
島のお寺を継ぐことになった背後には、使命感と初めて島を訪れた時の空気感がありました。今では、お寺を繁栄させ、次世代へとつなげるミッションを胸に生活しています。

仕事について

ーーありがとうございます。次に島でのお仕事について聞かせてください。
・お寺の仕事

僧侶としての主な業務は掃除と法事・葬儀です。法要の流れは、場所を清め、仏を迎え、感謝を伝え、誤ちを認め、智慧を学び、感謝を伝え、他者に伝える。といった物語になっています。法要の流れに沿って掃除、整理整頓を重点的に行ってきました。次第に檀家さん、地域の方からお寺の雰囲気が良くなった。と声をかけてもらう機会が多くなりお経に書いてある事は合っているなと再確認しました。

・養蜂の取り組み
放棄地の再生と島の景観保全のためとはちみつを食べるために養蜂を行っていました。おととしの大雨以降、蜂がいなくなってしまったので今はできていないのですが…。
元々は養蜂は先代の口村さんが僕が収入に困らないようにするために始めたことで、それを引き継いだ形です。
日本ミツバチは刺す事はあまりないと言われていますが、おでことお尻に刺されたことがトラウマで、ミツバチに近づきたくないです。
おでこを刺された翌日が葬儀で、大きなたんこぶをつけながら自宅に行きました。皆さんに大笑いをされ複雑な気持ちになりました。

・なんでも屋さんとして                                    日常生活でも、役にたつお坊さんになりたいと言う思いで始めました。
大工仕事、草刈り、畑を耕すなど、さまざまな作業を行っており、過去の経験が現在に活かされています。地域の方と知り合いになれるし、地域の方へ貢献できるので、今後も続けていきたいですね。

・町議会議員として
町議会議員として議会・委員会に出席します。
西ノ島町では年に4回の定例会があり、それとは別に委員会があります。

移住の経緯とその後の思い        
初めて島を訪れたときに、この島なら生きていけると確信しました。振り返っても全く後悔はしていません。檀家さんや島の人たちが受け入れてくださり楽しく過ごしています。今でもお寺を繁栄させ、次の世代に繋げると言う思いは変わっていません。

西ノ島での暮らし

ーー1日の過ごし方について教えてください。
太陽と共に起き、太陽が沈むと共に眠る、自然と一体化した生活を送っています。日課としては、朝のお勤めや本を読む時間などがあります。移住をして健康的な生活に変わりました。

ーー仕事・暮らしの中で人と接する機会が非常に多いと思うのですが
気を付けていることなどはありますか?

人々とコミュニケーションを取る上で、言葉だけでなく、
背後にあるニーズにも耳を傾け、それに応えられるよう心がけています。

ーー西ノ島の好きなところはどんなところですか?
西ノ島は、海の幸や山の幸に恵まれ、近所付き合いも豊かな場所です。
そのため、冷蔵庫があれば生きていけます。
スーパーでの買い物は週に1度で十分です。日々は鳥のさえずりや美しい星空と共に静かに過ぎます。
ここでは時間が余り、他者のために時間を使えることにこの地での喜びを感じています。

お寺での夕食会

ーー島の生活で大変だと感じた瞬間はありますか?
西ノ島での生活は、ストレスがないわけではありませんが、"住めば都"という思いで、順応しています。食料の値段はやや高めで、品揃えには限りがありますが、スーパーの有難みを感じています。
インターネットで買い物ができるので、生活に大きな不便は感じません。
離島料金なしで届きますしね。

ーー西ノ島がどんな町であると良いなとお考えですか?
理想としては、助け合いを大切にし、誰もが孤独を感じない町を目指しています。
人口が少ないからこそ実現可能なことと信じていますが、ただ時に過干渉が頭を悩ませることもあります。

ーーこれから挑戦してみたいことはありますか?
僕の使命は、お寺を後世に繋げていくことです。本堂と境内の整備はその一環として、10年、50年、100年後を見据えた計画を進めています。お寺を文化の拠点とし、地域の人々が集まる場所にしていくことも重要な役割と捉えています。お寺の行事を増やすこと、御堂を建てて地域の仏像を預かる計画や、ヨガ教室、デッサン教室、書道、寺子屋などのイベント・教室を開催し、人々を集める試みを行っています。

ーー西ノ島に興味のある方に向けてのメッセージをお願いします!
何か新しいことを始めるのは、不安や恐れがついてきます。少しでも興味を感じたら、一歩を踏み出してみてください。良い選択かどうかは、やってみないとわからないもの。その選択を良いものにするための努力が大切です。後悔しない生き方をしてください。そして、移住したての不安や疑問があれば、常福寺があなたを手助けします。

あとがき

柴田さんは私とは時間の流れが違うのかな?と思うくらい穏やかで、
いつも丁寧にコミュニケーションを取ってくださります。
お寺の雰囲気も素敵で、座っていると心が落ち着きます。

「島留学生」を含め、移住してきた方とも交流が多く、
話を聞いてもらえたり、地域と繋いでくれる心強い存在です。

これらも西ノ島でお寺を守り、地域を見守り続けていただきたいなあと思います。

お読みいただきありがとうございました。

※柴田さんの以前のインタビューは下記リンクからお読みいただけます。
ぜひ併せてご覧ください。


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