隠岐・島前に欠かせない「隠岐観光(株)」で働くふたりにインタビュー!
今回のインタビューは、島前での生活には欠かすことのできない
「隠岐観光(株)」のお2人です。
1人目は観光船の船長である向井祐太さん。
2人目は観光船の船長で観光バスのドライバーでもある松浦創志さんです。
観光船・観光バスについては下記のサイトからご確認ください↓↓
プロフィール
ーー今日はよろしくお願いします!まず自己紹介をお願いします。
松浦さん(以下、松浦):松浦創志です。学校を出てから大阪に10年くらいいて、元々はレインボー(※隠岐汽船株式会社さんが管轄する、本土と隠岐諸島を約1時間で結ぶ高速船)が就航する時にそのメンテナンス担当としてこっちに帰ってきました。
3年くらい前に隠岐観光に入りました。
向井さん(以下、向井):向井祐太です。高校は山口で、卒業後は松江に。23,4歳くらいの時に西ノ島に帰ってきました。最初は調理師として働いていて、お店やったり和光苑(特別養護老人ホーム)の調理をやったり。その後隠岐観光に入って今8年目です。
普段は観光船に乗って、オフシーズンはいそかぜ(島前3島を結ぶ内航船)に乗るっていう感じです。
松浦:観光客の方は大体11月くらいまでしか来ないので、観光船は閉めて内航船の手伝いにいきます。
ーーありがとうございます。お二人とも船舶免許はいつのタイミングで取得されたんですか?
松浦:高校では取ってなくて、こっちに帰ってきた時に。
二人とも釣りが好きだから、釣りに行ったりする用で。
向井:取った延長線上でここにいるみたいな。
仕事について
スケジュール
ーー1日のお仕事のスケジュールを教えていただきたいです!
向井:朝8時前に出勤して、海が時化ているかどうかを国賀海岸の方に見に行って、観光船を出せるか、どのコースかなどを別府の事務所や観光協会にFAXします。
その後は船やバスを洗ったり準備して、時間が来たら船を出してっていう流れです。貸切があればそれに合わせて海士町や知夫里島に行ったりとかもします。
松浦:景色を見る乗り物だからね、水で流したり窓を拭いたりとか。
バスは早い時間の仕事があまりなくて、10時過ぎに別府港に着く「しらしま」(本土-隠岐間のフェリー)以降の仕事が多くて。
点検したり掃除したりして、時間になったらお客さんを迎えにいきます。
そこからは決まった休憩時間とかはなくて。1日のスケジュールはお客さん次第みたいなところはある。
向井:定期バスだけならある程度時間は読めるけど、貸切があればそれに合わせるっていう。
海士町や知夫里島に行ったりもしますし。
あと昨日は観光ではないけど、島前音楽会(島前3島合同の小中学生による発表会)の足として子ども達の送迎もしました。
ーー業務の割り振りはどうしているんですか?
松浦:観光船が2人、バスが2人、バスと船に兼任が2人。
兼任している人が足りない方に入るような形です。
向井:で、最近船とバスにそれぞれ新人さんが入ってきました。
ーーハードですね…!
向井:忙しい時は休む暇ないくらいグルグルするし、定期便だけの日とかはゆっくりできるし。
松浦:毎日ホワイトボードに予約状況とかを書いていて。予約が多いと全員が動き回らないといけないような感じで。
何号車の車や船を使って誰が運転するのかっていうのをパズルみたいに考えて。
でも当日風が強かったりするとまたずらしたり。乗ってしまえば個人プレーだけど、乗る前は結構チームワークが大事で。
ーーちなみに今日の観光船は「船長おまかせコース」ですか?
(※船長おまかせコース:通常コースが荒天等で欠航した場合の代替コース。インタビュー日は風がかなり強めでした)
向井:今日はおまかせコースです。風が強くて厳しいけど、乗ってくれる人がいればなんとか1時間は回るようにしています。
レンタカー借りている人はバスには乗る必要はないし、乗るならあとは観光船だからね。
松浦:やっぱり「船に乗りたい!」って方はいるからね。
内海しか回らない(国賀海岸を見ることのできる外海には出ない)けどいいですか、って聞いて。
やりがい・大変なこと
ーーお仕事のやりがいと大変なことをお伺いしたいです。
松浦:やりがいは、特に貸切とかだと、自分の親やそれより上の世代の方が多くて。皆さん優しいというか、「ありがとう」「良かったよ」って言ってお菓子をくれたりとか。
大変なことは今日みたいに天気が荒れたりして時化ていたりすると、いくら良い景色を見せたいと思ってもどうにもならないこと。
バスでは時化は関係ないって思われがちなんだけど、摩天崖上がっても真っ白だったりするからね。雲の中みたいになっててお客さんも「ええ~~💦」って。天候に左右されるところが大変かな。
向井:観光船のガイドとか離着岸を覚えるのは大変だと思う。
一応ガイド内容の紙はあるけど、それ通りにいくとも限らないし。
おまかせコースはルートが決まってないし、行ける場所も海に出ないと分からなかったりするから。「1時間は回る」って言ったらしっかり1時間は回らないといけないしね。
松浦:国賀海岸に船が出せてもルートは日によってちょっとずつ違って。
ここを通るのは今回は止めておこうとか。
船の角度を変えたりとか結構気を遣ってやってるから。
荒天でもお客さんがニコニコして帰ってくれる時もあれば、
中には船に乗る前の桟橋で調子悪くなっちゃう方もいるしね。
向井:明暗の岩屋とかの洞窟とかは絶対入れるものでもないし。
松浦:波ちょっとあるなと思っても、入ってみたら「シーン」としてる時もあるし。
ーーちなみに「明暗の岩屋」って大体どのくらいの確率で入れるんですか?
向井:今年は少ないんじゃないかな。7,8回に1回とか。
でも4月、5月とか春はかなり入れたかな。入れなかった方が少なかったかも。
松浦:東風の時がおすすめかな。
向井:前日が風が強いとそれが残っているから、何日間か凪が続いた時の最終日がいいかも。
松浦:うん、仕事としては結構面白いと思う。日によってやること違うし、
毎日同じことをやるわけではないから。
向井:話したりお客さんと接するのが好きっていう人にはいいかもしれない。
松浦:あとはやっぱり国賀海岸。毎日見てたら飽きると思うでしょ?
でもやっぱり日によって「今日めちゃめちゃ綺麗だな」って日もあるんだよね。岩に陽が当たってすごい綺麗な時とかね。
ーーお二人的には何月がベストシーズンですか?
向井:観光なら海が綺麗だし夏だけど、観光船で洞窟に入りたいとかの目的があれば4月、5月、6月かな。
松浦:俺も夏は外した方がいいんじゃないかなって思う。梅雨の時期の晴れた日とか6月、7月、9月とか。
何でかっていうと、真夏だと摩天崖とかに行っても暑くて牛や馬がいないんだよね。遊歩道とか歩いてみてほしいけど暑すぎて危ないしね。
秋はサンセットクルーズもやってるし、真夏よりもその前後がおすすめ。
島での暮らしについて
ーーありがとうございます。そうしたら次は暮らし面のお話をお伺いしたいと思います。休日はどんな過ごし方をされていますか?
向井:基本釣りに行ったり、夏は海に潜りにも行くし。家でゴロゴロとかはあまりないかな。家におると落ち着かんけん外出て何かしようかなって。
松浦:本格的なのは最近はしていないけど、釣りとかキャンプとか。
窯で火を焚いてピザ焼いたりとかも。生地をこねるところから。
薪作って乾燥させておいて、溜まったら焚き火してコーヒー淹れたりすることもある。
あとは車が好きだから洗車したりタイヤやオイルを替えたりね。
元々機械や乗り物が好きで。
向井:人それぞれだよね。俺らはアウトドア派だけどインドア派の人もいるし。
松浦:休みが冬から春先に集中するから、そういう涼しい時に楽しいことっていうとやっぱりキャンプとか。釣りもな、魚が美味しくなるから冬は。
真夏ってあんまり釣れないもんな。釣れても魚が瘦せとったりな。
キャンプも夏は虫が多いから楽しくなくて、シーズンは虫の少ない涼しい時で。
向井:真夏は釣りする人も少なくなるし。みんな潜りに行くから。
ーーお二人とも釣りは船を出して行くんですか?
向井:船出しても行くし、ここら辺でもアオリイカとか時期のものは釣れるし。その時の釣れるものを釣りに行くっていう。
ブリとかタイとか大きいものを釣りに行くときは船出したりとかもするけど。スズキ・アジ・メバルとかは釣れるポイントまで車で向かって釣ってる。
松浦:今だったら仕事の前と後でそこ(事務所の目の前)でアオリイカ釣ってる。5分くらいちょろっと釣ったりしてね。
岸壁にイカ墨が付いている所がイカが釣れる場所で、いま(取材時は10月半ば)ちょうど時期だしみんな釣ってる。
隠岐観光のはなし
松浦:逆にどうですか、隠岐観光は?
露木:私この前、松浦さんが船長の時のサンセットクルーズ乗りました!
サンは見れなかったですけど……。
松浦:まあ天気が良いときの景色はYoutubeで(笑)
このサンセットクルーズのポスターも、そんな良い時の写真ではないんだよね。本当ならもっと真っ赤に見えるんだけど。
向井:それこそ隠岐観光も人手が欲しいけどね。情報発信してくれたりSNS担当してくれる人がいてくれたら助かるかなっていう話はあるよね。
あとはドローンで撮影してそれを通して発信してくれる人とかね。
松浦:SNSは若い人の方が慣れていると思うけど、
船長とかバスドライバーは中堅というか、ある程度腰を据えて働いてくれる人がいいのかなっていうのはある。
島留学生とかも残ってほしいよね。みんなすぐエースになれると思う。
ここだと何かやってみた時に結果が見えやすいと思うんだよね。
ガイド兼SNS担当、とかね。自社ガイドがいてもいいと思うし。
船ガイドもありだとは思うし。
向井:女性でも船長はできないってことはないと思うし。
よほど力に自信がない方でなければね。職場内でサポートし合いながらもできるし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここで隠岐観光の社員の方が何人か大型バスに乗り込んでいきます!)
ーー何か始まるんですか…?
松浦:今さっき言ってたバスの運転手の新人さんのデビューできるかどうかのテストが始まります。俺が指導係でついてたので…頼むぞ…!
向井:社長とベテランスタッフが乗って行ってOKを出すか決めるからね。
バスも船も狭い所通るし一人だから厳しくチェックしないと。
安全面はもちろん魅せ方とか案内の仕方とかも確認して。
船は瀬を覚えて洞窟に入れるかどうかも判断できるようにならないといけないし。
松浦:船は条件の同じ時っていうのがないからね。一通り経験するのに一年くらいはかかると思う。
……俺が緊張してきたな。
(この時テストのバスが出発していきました!)
向井:若い人達がね、どんどん入ってくれれば嬉しいけどね。
ーー最後に西ノ島に興味のある人にメッセージをお願いします!
松浦:仕事はいくらでもあるよ!
向井:確かにね。あとは海や山、アウトドアが好きな子にはいいと思う。
島の人と仲良くなれば季節の海産物とか野菜を貰えたりするかもしれないしね。
松浦:釣りとか畑とかキャンプするのにお金がかからないからねここは。
あとがき
このnoteでのインタビュー企画を進めるにあたって、「島ならでは」の仕事をされている方にお話を聞いてみたいと思い、色々な方にご協力いただき隠岐観光さんへの取材が叶いました。
とっても気さくで、業務内容から休日の過ごし方、島に対する思いなどを和やかに、かつ真剣にお話してくださったお二人。
島が好きで、島での暮らしを楽しんでいらっしゃるんだろうなと感じました。
ぜひ西ノ島を訪れて、観光バスや観光船を楽しんでみてください!
(定期観光船は3月1日~3月19日の土・日 、3月20日~10月31日の毎日運行です。定期観光バスは3月1日~3月19日の土・日 、3月20日~11月20日の毎日運行です。詳しくは隠岐観光さんのHPをご覧ください。)
お読みいただきありがとうございました!