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【島留学体験記】牛は「美味しそう」か「可哀そう」か。初めての家畜市場見学。

7月4日、西ノ島町で家畜市場が開催されました。
放牧されている牛は、どのように島を出ていくのでしょうか?
今回は、初めて家畜市場を見学した際の体験レポートです。

私の島体験記
島根県、隠岐諸島の小さな島「西ノ島」に暮らし始めた私の島体験記。
島暮らしで経験したこと、感じたことをお伝えしています。

西ノ島の畜産について

西ノ島では、『公共牧野』を活用して牛の飼育が行われており、放牧料を払えば、住民は誰でも放牧できます。

基本的には、子牛を生産して売ることを目的とする『繁殖経営』が行われており、家畜市場で購入された子牛は、全国の購買者によって肉牛として育てられます。

隠岐の家畜市場は、3月・7月・11月の年3回。
海士町・知夫村ちぶむら・西ノ島町の島前3町村と隠岐の島町で、順番にそれぞれの島をまわりながら、3日間かけて開催されます。

今年7月は、以下の日程で行われました。

7/2(火) 隠岐の島町
7/3(水) 海士町・知夫村
7/4(木) 西ノ島町

最終日、西ノ島の市場は、小雨が降る中で開催されました。


初めての家畜市場へ

長靴を履いて出発。
初めての家畜市場にワクワクしながら会場に向かいました。

会場に着くと、100頭ほどの牛。
「モーモー」という鳴き声が鳴り響き、いつも山で見ている牛とは様子が違って見えました。

牛がつながれている小屋には、競りにかけられるまでの道順に沿って、頭上にレールが設置されています。

まずは1頭ずつ、鎖でそのレールとつないでいきます。

その後、計測が行われます。
台に乗ると計測される仕組みですが、なかなか思うように乗ってくれず、牛飼いの方々が苦労していました。

計測された子牛の体重は、200キロ以上。
産まれてから1年も経っていない子牛がこんなに大きいのかと驚きました。

計測が終われば、いよいよ競りが行われます。
会場の外からも、競りが行われている牛の体重や、購入金額をモニターで見ることができました。

会場内に入ると、購買者の前にジュースやお菓子が置かれていました。
昔は、お酒もたくさん用意されていたんだとか。

購買者それぞれにボタンが渡されていて、ボタンを押している間は値段が上がっていくという仕組み。
悩む隙間もないくらい次々に購入者が決まっていくので、お目当ての牛を購入するのはきっと難しいのだろうなと想像しながら見ていました。

今回購入された子牛の平均価格は約39万円。
1頭あたりの値段は年々下がってきているようです。

金額と購入者が決まると、獣医さんが注射を打っていきます。
注射も人間のものと比べるとかなり大きくてびっくりしました。

注射が終わると、鎖が外されて、購入者ごとにわけられます。
トラックに積まれる牛もいれば、牛舎で待機する牛もいました。

牛が嫌がり、いうことを聞いてくれないこともしばしば。
数人がかりでトラックに乗せていました。

市場が終わると、購入者のもとへそれぞれ出荷されていきます。

牛も出荷されるのがわかるのか、会場では終始鳴き声が響いていて、トラックに乗るのを嫌がる様子を見るのは、少し辛かったです。


家畜市場を見学してみて

牛飼いの方にとっては、市場に出す牛が収入源。

次々に購入者が決まっていく様子を見て、競りでの価格は、牛飼いの方が生み出した価値そのものだと感じました。

出荷される牛を見て「可哀そう」と感じていた自分も、市場から外に出て、スーパーに並んでいる牛をみたら、きっと「美味しそう」と感じる。

そんな自分を想像して、少し複雑な気持ちにもなりました。