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離島で看護師3年目。住めば住むほど心地よくなる仕事と暮らし。

「Humans of Nishinoshima」
島で暮らすってどういうこと?島にはどんな仕事があるの?
このマガジンでは西ノ島で暮らす人にインタビューし、
イメージしづらい離島での暮らしについてお届けしています。

インタビュー・文 吉谷優花

島根県の離島にある隠岐島前病院。病床数44床の総合病院です。
この病院では、離島の医療に携わりたい多くのIターン者が働いています。
今回は、そんな隠岐島前病院で働く看護師さんにお話をお伺いしました。

実は、ドラマ、コウノドリの舞台になったこともあるんですよ

前川久美子(まえかわくみこ)さん 神奈川県出身 
島に来て3年目・看護師歴7年目
好きな食べ物:お寿司、隠岐の岩のりおにぎり

青年海外協力隊を目指す

ーー簡単に久美子さんの自己紹介をお願いします。

隠岐島前病院で病棟の看護師として働いています。
島に来て、今年で3年目です。看護師歴は7年目になります。

ーー看護師を目指したきっかけを教えてください。

最初は大学を卒業して、医療関係の営業の仕事をしていました。
大学でも国際交流のサークルに入っていて、学生の頃から海外で働くことに興味がありました。社会人として数年働いた後に、そろそろ海外に行きたいと思ったのですが、自分には特化したスキルがないと思ったんです。

その状態で海外にいっても社会貢献できないどころか、迷惑をかけるだけだなと思って・・。それなら何かスキルを身につけたいと思い、25歳の時に看護学校に入り直しました。看護師になって何年間か経験を積んだのちに、
「青年海外協力隊」に応募しようと計画していましたね。

離島で看護師をするという選択


ーーその後青年海外協力隊ではなく、隠岐で看護師をするという選択をしたのはなぜですか?

看護師になり、休暇を使い海外旅行をしていた時の事です。
旅行先から帰ってきた次の日に祖母が亡くなり、本当なら3日後に会う予定だったんです。その時に、大切な人に何かあったときに駆けつけることができない虚しさを感じて、「あっ、私は大切な人が遠くにいる生活はできないな。」って気付きました。それがきっかけで、海外に行くという選択肢は自分の中で自然となくなりました。

でも、「青年海外協力隊」のように、いわゆる医療の届きづらいといわれている現場を支援したいという思いがあったので、「離島で働く」という選択をしました。

病院の入り口にてパシャリ

幅広く知識がつく現場


ーー島前病院でのお仕事について教えてください。

私は病棟看護師として働いています。看護師の人数が少ない分、幅広い知識や技術を求められます。基本的な仕事にプラスで、退院調整や、どんなサービスを導入するか、私は知識を増やすためにケアマネージャーの資格もとりました。何でも屋さんという言葉がぴったりだと思います。
看護師としての幅も広がるし力がつくし、とても楽しいです!個人的には、ここの訪問看護は生活に密着したスタイルで素敵だなと思います。

ーー3年働く上で、心の変化はありましたか?

1年目よりも2年目、2年目よりも3年目、
長くいればいるほど働きやすくなりましたね。

1年目は、慣れることに精一杯で、期待していた事との違いにが目がいったり、そこへのツッコミに心がも体も疲れてしまったり・・。

でも2年目になると、
じゃあその中で自分ができることは何だろう?
そもそも何をしに来たんだっけ?
と目的に立ち戻れたり、同じ志を持った人と出会えたり。

3年目の今は、流れも分かり、患者さんとの関係性もできて、
良い意味で馴染んできたなと思います。

寒い冬を乗り越えれば・・・


ーー島でのプライベートは充実していますか?

とっても!今年で3年目になりますが、仕事と同じように、
住めば住むほど心地よくなります。
それに、3年も住んでいると、”旬”が分かるようになるんです。
春になったら、そろそろの時期だ、夏になったら岩牡蠣だ!とか。

春にいただく玉ねぎも、外に吊るして干しておけば一年中持つとか、
保存方法も学びましたね。

春は筍!筍ご飯にして頂きます。
隠岐の名物岩牡蠣も、春から夏にかけて。
実がぷりっぷりですね!
イカをまるごといただくこともあるそう。

都会にいるときは、ワカメは年中採れるものだと思っていたし、
そもそもワカメとメカブが繋がってるなんて知らなかったし(笑)。
申し訳ないんだけど、最初のうちは、メカブが食べられる物だと知らずに、捨てていました・・・地域の方にそれを伝えたときは勿体無いと怒られました(笑)。

ーー逆に島生活辛いなと思うところを正直に教えてください。

それはもうね、とにかく冬が寒いこと・・・!
地元、神奈川は冬晴れって言葉があるように冬でも青空なんです。
隠岐は日本海に囲まれているので風も強いし、いつも分厚い雲に覆われていて、どんよりとした天気が続くと気分まで下がっちゃうな〜・・・。
個人的に12月〜2月は本当に辛いです(笑)。

年に数回はこのような大雪が降ります。

洗濯物もなかなか乾かないから、あーそろそろ暖かいお日様の下で干した、ふかふかのお布団で寝たい!って思っちゃうことも多々あります。

でもその分、春がすっごく待ち遠しいんですよね〜
桜とかお日様とか。
こちらに来るまでは、春がこんなに待ち遠しく思うことはなかったです。

桜が満開の黒木御所にて

ーー島の冬。私もみなさんに同じことを言われます。それでも島に来て良かったなと思いますか?

もちろん思います!自然に囲まれて豊かな生活が送れるし、人は優しいし、ご飯は美味しいし。それに病院では幅広く知識を学んで実践できます。
冬は辛いけどその分春が待ち遠しく、嬉しさも倍増だからね。

Iターン同士ですぐに知り合いになれるのも島の良さですよね。
ストレスが溜まった時は、全く違う業種の人とお酒を飲んで
たくさん話をきいてもらいます(笑)。

行きつけの居酒屋にて。左上がくみこさんの好きな岩のりおにぎり

ーー最後に、島暮らしに興味がある方に向けてメッセージをお願いします!

あまり、意気込みすぎず、とりあえず来てみるって感覚が丁度いいんじゃないかな、予想していなかったこともたくさん起こるので。

あとは、自然豊かな分、虫もたくさんいます。
本気で虫が苦手な人は来ない方がいいかも(笑)。

でも、地域の方も優しくご飯も美味しくとってもいいところです!
迷ってる方は勇気を出して、是非来てみてほしいですね。

みんなでカヤック、夏の一コマ。

筆者のひとこと

女性目線で島暮らしのリアルをお話しして下さった久美子さん。
今年は、隠岐での経験を活かし、地元神奈川で在宅看護を専門として働くそうです。インタビュー後も、隠岐の美味しい食べ物の話で盛り上がりました。地元に戻ってからも、きっと隠岐の美味しい食べ物が恋しくなりますね。久美子さんの新しいチャレンジも応援しています!


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