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【離島の美容室】「来てくれるお客さんを幸せにしたい」仕事と島への思いとは

「Humans of Nishinoshima」
島に住んでいる人って何してるの?島にはどんな仕事があるの?
このマガジンでは西ノ島で暮らす人にインタビューし、
イメージしづらい離島での暮らしについてお届けしています。

村尾勝樹さん:西ノ島町出身
西ノ島町・美田尻地区にて美容室「Hair salon Murao」を経営

プロフィール

ーー今日はよろしくお願いします!まずは自己紹介をお願いします。
西ノ島でHair salon Muraoをやってる村尾勝樹です。それだけ笑

ーーえ、略歴みたいなのが聞きたいです!笑
そういうことね!
元々は和歌山で17歳くらいから自動車の整備士をやってて、
車は好きだったんだけど、人と喋りたいなと思って。
ずっと機械相手に仕事するのが嫌になって美容師に転向した。
人と接する仕事で、実家が美容室やってたから。
19歳くらいかな、美容学校通い始めたのは。

ーー最初はなんで整備士になったんですか?
かっこいいから。あとは元々高校も機関科だったからいじるのが好きで。
でも仕事中に会話がないのが嫌で、美容師だったらいつか島に帰ってこれるなあとか色々考えてこっちの道に。

ーーありがとうございます!
何で美容師をする上で西ノ島を選んだんですか?
和歌山で10年くらい美容師をして、いつかは帰ってきたいとは思ってたから。っていうのと親の面倒とかもあって。本当はもう少し向こうでやりたかったんだけど、29か30歳の時に帰ってきた。理由はそれかなあ。

店内の様子

仕事について

ーーそうだったんですね、では仕事の面白いところを教えてください!
自分の技術や勉強したこと・上手い/下手が、その瞬間に出ること。
見える形で出てくるのがこの仕事の魅力かな。
上手くいくかどうかは、結局自分の努力とか勉強なんだよね、
講習も受けたりとか。
後はお客さんが戻ってきてくれる嬉しさ。ただ辛いのは離れていくさみしさ。この島は特に町で出会うからね、辛いね。
ただやっぱり喜んでもらえたらまた頑張ろうって思えるから。

ーーお客さんが喜んでくれた具体的なエピソードとかありますか?
やっぱりね、本当に笑顔で帰ってくれた時は幸せな気持ちになる。
昨日もウエディングフォトがあって、新郎が小さな頃から知ってる
男の子で、奥さんのヘアアレンジをさせてもらって。
そういうの見るとやめられなくなるよね。
あとはこっちは成人式が夏にあるじゃん。去年は小さい頃から知ってる子の
ヘアアレンジもして。ああもうこんなに大きくなったんだなあ、とか思って。そういうのも魅力かな。

ーー素敵な話ですね!次は仕事をする上でのモットーとかこだわりを教えてください。
なるべくお客さんの要望に応えたい。悩んでることがあれば、それを改善して綺麗にしてあげたい。
話を聞いて、心からの笑顔で帰って行ってほしい。それが自分のモチベーションにもなるし。

ーーでは仕事で大変なことは何ですか?
どうしても年齢をとった男性美容師からは離れていく傾向があるから。
技術はそこに伴うんだけど、若い人は若い人に切ってもらいたいっていうのもあるし。
いま何が流行っているかとか覚えるのが難しくなってきて。
例えば「このドラマ見てる?」って言われて、見てれば話が続くじゃん。
見てなかったらそこで終わりで。
だから勉強する範囲がすごく広い。技術以外にも何か言われたら何か答えられるくらいの勉強はしておきたいなとは思ってる。

西ノ島の好きなところ

ーー話題を変えますが…西ノ島の好きなところってどこですか?
お祭とか盆踊りとかのイベントかな。仕事柄週末の昼間だとなかなか
行けないんだけど。
お祭でいうと別府地区で「でやんなよ祭」とかあるじゃん、不思議だよねああいうのも。
どうしてああいうお祭があるのかも今度調べてみてよ気になるから。

由良比女神社の例大祭にて

あとは人付き合い。都会ではないご近所さんとの親密さとか。
出掛ける時は鍵を預けることもあるしね。
ちょっと会っても「元気しとるか~~」って声かけてくれたり。
逆に自分から「元気しちょるか?」って話しかけたりとか。
田舎あるあるかもしれないけど俺は好き、だし皆そうじゃないのかな。
町の人が優しいのかな、他人が傷付くこととかあまり言わないと思う。

年配の方から「こういう時はこうした方がいい」とかアドバイスもらうことも多い。
会話の中で煮しめの作り方とかみりん干しのタレのレシピとかも教えてくれたりするし。

ーー休日の過ごし方を教えてください!
釣り!釣れるときには行く。
俺はショア(堤防や砂浜など陸上から釣りをすること)なんだけど。
このインタビューの後も行こうと思ってウキウキしてる。
場所でいうと宇賀方面とか「釣れる」って言われてる所に行くかな。
ただ夏は「夏枯れ」で海が熱いから、今は魚が深い所に行っちゃってる。

後は車いじるのかなやっぱり。そこのボロ車(かわいいジムニーです)は
元はこの色じゃないし、錆と穴だらけだったし。
それやりだしたら毎週月曜の休みはそればっかりやってたりする。

西ノ島への思いとこれからについて

ーー西ノ島にどんな町であってほしいですか?
今のまま。長年かけて変わるのはいいよ。
これね、自分の意見もあるんだけど、近所の子も言ってて……
仕方ないんだけど……伝統がなくなってきてるんだよね。

浦郷のお祭も、昔は大きな運搬船を並べて繋いで、そこに神輿を
載せて、お客さんも入れてそこで神楽もやってたんだって。
そういうのもなくなったよね。
別府のお祭でも神輿を載せた船を揺らしたりね。
現代の流れとしては仕方ないんだけど、そういう伝統文化が
なくなっていくのは悲しい。
人の命の方が大事だから難しいんだとは思うんだけど。
残せるものは保存していきたいよね。
それには自分は何ができるんだろうって考えたりはする。

ーーでは最後に……これからの目標は何ですか?
目標ってね……やってること全てが目標というか、やってることの延長線上やから……
最初に言ったように、初めて店に来てくれて、リラックスしてもらって、可愛くなって帰ってくれるお客さんを増やしたい。
100%みんなそうやって帰ってもらえる訳ではないから。それを100%に近づけていきたい。ずーっと勉強だから。色々な人の髪を綺麗にして喜んでもらいたい。

自分へ投資することまたせなあかんのかもしらん。
今ってYou tubeとかSNSで色々勉強できるけど、実際に講習とか行くと、
自分が聞きたいこと聞けるわけ。
こうしたいのに何でこうなんですか、何でこの角度なんですかとかね。
直接聞いて教えてもらえるのはありがたい。
うん……これからも勉強して、髪の知識を増やしたい。
で、年を重ねてもこの仕事を続けたい。
お客さんが減ってもそれは仕方ない、来てくれるお客さんを幸せにしたい!

筆者より

村尾さんとは普段から話す機会も多いのですが、素面のことは少なく(!)
今回のインタビューも最初は上手くいくか正直どきどきでした。
ですが始まったら仕事についての真摯な向き合い方や、西ノ島への愛のある思いについてたくさんお話してくれました。
私も来島して4ヶ月ほど経ちました。せっかく縁のできた西ノ島に、何ができるかを改めて考えたいなと思うインタビューでした。
村尾さん、ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました!


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