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離島で趣味を楽しむ。手作りのセカンドハウスでの過ごし方

緑に囲まれ、季節のお花や果物がなっている庭。
緑溢れた庭を進むと、木でできたお家が見えてきます。

緑いっぱいのお庭

玄関を開けると、手作りのオブジェや花瓶たち。

生花も飾ってあります

地元の方が連載された記事の切り抜きも丁寧に飾られています。

手作りの写真立てに入れて

最近は洋蘭の栽培もしているのだとか。

温度管理が大切なので陽の当たるところに

こちらのお家の名前は「山月庵(さんげつあん)」
地域の方がご飯を食べたりお酒を飲んだり、生花や俳句教室を楽しんだり。地域の団らんの場として作られた、セカンドハウスです。

今日はそんな「山月庵」を一からつくりあげた川井さんにお話しをお聞きしました。

お話しした方:川井昭二(かわいしょうじ)さん 西ノ島町出身
中学卒業後、商船・漁船で働き、世界を飛び回る
56歳の時、独学で「山月庵」をつくる。
花・鳥・珈琲・オブジェ・本・音楽など、趣味は多岐にわたる。

「おう!来たか!よう来たのぅ!」
そう言っていつも暖かくお迎えしてくれる川井さん。

今日も美味しい珈琲とともに、お話をお聞きしました。

サイフォンで淹れた珈琲

船の上で働く日々


ーーまずは、川井さんが昔何をしていたのか教えてください。

57歳まで船の上で働いていたよ。最初は商船に乗っとった。
とにかく実家が貧乏で、お金を稼ぎたかったから、中学を卒業したあとすぐに商船に入ったよ。あの頃は手っ取り早くお金を稼ぐのは商船だったからなぁ〜といっても、入ったのは15歳。下っ端から始まったから苦労してなぁ。

船の上は実力社会だからなぁ。
何も分からないから、上の人について行って必死に学んだよ。
今みたいに教育してもらえることもなかったからなぁ。
見よう見真似でやってみたり、寝る間も惜しんでメモをみて勉強したり。
じゃないと、何か言われた時に動けんからなぁ、それじゃ使い物にならんだろ。

商船時代のアルバム

ーー商船ではどんな生活をしていたのですか。

大体二ヶ月くらい船に乗って、一週間くらい休み。
外国で降りることも多くてな、
フィリピン、台湾、中国、いろんな国に行ったよ。

いつかの海外にて。かなりダンディですね笑

ーーその後、隠岐に戻って漁船で働いたんですね。


そう、そのあと浦郷丸(まき網漁船)で30歳から57歳まで働いたよ。
仕事を辞める最後の一年間は、家を作りながら働いとった。

モデルがあった「山月庵」


ーーそもそもなぜ「山月庵」を作ろうと思ったんですか。

地域の人が集まれる空間を作りたいと思ってな。

実はこの家にはモデルがあってな。当時浦郷(地区の名前)に、木でできた家があってな、そこで大人たちが、仕事おわりに囲炉裏を囲んで魚を焼いたりお酒を飲んだりしててなぁ。周りは暗いのにその家だけ灯がついていて、楽しそうな声が聞こえてなぁ。毎日その光景を見ていたから、俺も死ぬまでに絶対こんな家をつくってやろうと思っとった。

それで、56歳の時に家づくりを始めたよ。丁度仕事を辞める一年前かな。
当時はまだ働いていたから、夜に漁に出て朝帰る、そこから昼まで家づくりをして、帰ってシャワーを浴びて、ビール一本飲んで少し寝る。また夜に漁に出て行くっていう生活だったよ。
けど、好きなことをしてるから全然苦じゃなくて、楽しかったな〜。
いやぁ本当に楽しかったなぁ!
毎日夢中でやって、辛いと思ったことは一度もなかったわ(笑)。

ーーこのお家を一から作るってすごいですよね・・基本的なことですけど、やっぱり設計図とかから書いたんですか。

そんなの一切書かんかったよ(笑)。不思議と感覚だけで出来てしまった。母方が大工家庭でな、俺の親父も、その親父も大工をしとってな。だから意外と向いてたのかもしれん、簡単にできてしまったわ、いやぁほんと楽しかったなぁ(笑)。(その後、地域の方からのお話によると、川井さんの母方の家庭は小学校や神社を建てた名大工家庭だったようです。)

ーー川井さんにとって本当に楽しい時間だったんですね〜。山月庵のこだわりポイントとか、好きなところはありますか。

好きなとこって、全部!全部好きだなぁ。

けどやっぱり囲炉裏の部屋だな。最初は囲炉裏をつくる予定はなかったんだけど、やればやるほど楽しくて、結局作ってしまったわ(笑)。

囲炉裏がある、離れの部屋。

地元の人が集う場

ーー山月庵ではどんな交流が今まで行われてきたのですか。

以前は本土から先生が来て、生花や俳句教室開いたりしてたよ。

最近は、囲炉裏を囲んでご飯を食べたり、

囲炉裏を囲んで

魚釣り仲間と朝釣った魚を食べることも多いよ。

食事の後は、別の居間で珈琲とフルーツを食べながらみんなでゆっくりする時間もまたいいんだよ。好きなレコードをかけたりしてな。

ーー自分の好きな空間に人が集まるって幸せですね。

本当、幸せだよ。でも、人がいなくても、俺はここが好きだから一人で
週4日くらいはゆっくりしてるよ(笑)。
本を読んだり、音楽を聴いたり。一杯やったり(笑)。
なんせ趣味が多いからなぁ〜昔、占いでもお金が貯まらないザルといわれたが、あれは当たっとったと今でも思うわぁ(笑)。

趣味を楽しむ隠岐での暮らし


ーー趣味はどんなことを楽しんでいるのですか?

古文書の勉強したり(古文書の会というサークルがあるようです)花を育てて生花をしたり、サイフォンで珈琲を淹れたり。
最近は釣り仲間が出来て、朝釣りにも行っとるよ。
あとは、鳥が昔から大好きでな。
最近は烏骨鶏を飼い始めたよ。

隠岐は海もあるし山もあるし、時間もゆっくり流れとる。
趣味を楽しむにはぴったりの島だよ。

まぁまたゆっくり話そう、またご飯でも食べにきなさい。

ーーまたお邪魔させてくださいね、今日はお邪魔しました。

筆者のひとこと

川井さんの好き、と、こだわりが詰まったお家。
地域交流の場にもなっており、豊かな空間には豊かな人が集まりますね。
いくつになっても好きを追求したり、趣味を楽しんだり、そんな歳の取り方をしたいなと私も思いました。